こんな疑問を解消するために、
私自身金投資を行う中で調べてきたことの要点を整理しました。
金投資の参考にしていただけると幸いです。
今回の記事では、金に投資する理由を整理した上で、
長期投資を前提とした金の保有方法を検討していきます。
金投資のメリット
まずは、メリットです。
地球上に存在する量が決まっているため価値が下がりにくい
金を人工的に作るのは現状難しいようなので、少なくとも今投資をしようと思っている人達が生きている間は希少価値は保たれると思います。
そしてこの事実が金の価値を下支えしていると考えると、メンタル面にとても良いです。
地政学リスクやインフレ等の株価が下落する場面で強い
株は発行体の信用によって価値が変動してしまうため地政学リスクやインフレで下落しますが、金はそのものに価値があるため、こういった場面に強いとされています。
以下、今年4月の中東情勢緊迫化の時と、2022年の米国インフレの時の金と株のチャートです。いずれの場合も金が優位となっており、リスクヘッジの役割を果たしていることがわかります。
需要が継続しており、今後も価格上昇が期待されている
近年中国をはじめとする新興国が金の保有率を増加させています。その勢いに減速はみられないため、引き続き上昇していく可能性が考えられます。以下、ブルームバーグの記事です。↓
中国、17カ月連続で金保有増加-3月の外貨準備高は21年以来の高水準
<2024/6/10追記>
中国の金保有が2024年5月は増加していないことが分かりました。
以下、ブルームバーグの記事です。↓
中国人民銀の金保有、5月に増加止まる
金投資のデメリット
金投資には以下の側面もあります。
過去30年のパフォーマンスがS&P500に劣る
気になるのはパフォーマンスです。以下チャートは過去30年のS&P500、日経平均、金の価格チャートです。1995年を0とした場合の価格の推移です。
このチャートは単純な価格の推移ですので、次の2点ご注意ください。
・S&P500と日経平均は配当を含みません。
・金はドル建ての価格です。
このチャートをみてしまうと、「S&P500を買えばよくない?」とどうしても思ってしまいます。上昇傾向にあるものの、下落している期間も長く、このような時に現金に変える必要が出てきたら嫌ですよね。
ただし、これはどこの期間を切り取るかによってだいぶ印象が変わります。例えば、2012年までの期間や、2016年からの期間のチャートであれば、S&P500に劣らないパフォーマンスです。そして何より今後のそれぞれのパフォーマンスは誰にもわかりません。このチャートをどう受け取るかは人それぞれなのかなという印象です。
これまでの定説が通用しなくなる可能性がある
一般的に金は株と逆相関すると言われています。ただし、最近の値動きをみていくと、逆相関するという考えには注意が必要であることがわかります。
2022年インフレ時には株と一緒に下落している場面もみられますし、最近はゴールドと株が同時に上がる場面がよくみられたり、地政学リスクが高まった場面では逆に金が売られたりと短期・中期な視点ではこれまでの常識とは異なる動きが目立ちます。
以下2022年のウクライナ侵攻の際のチャートと、中東情勢が最も緊迫化した今年4月12日の時間足のチャートです。
実際、ロシアのウクライナ侵攻の際は、短期的に2週間程金の価格は上昇したものの、すぐに下落に転じ、上昇した時の価格に戻ったのは約1年後でした。
また、次の日に中東でイランによる報復があるのではないかという懸念が高まった今年の4月12日(金)に金の先物価格が最高値まで急騰した後数時間後に大幅下落し、その日は陰線で引けました。その後実際にイランの報復はありましたが、12日の最高値を超えることはなく、緊迫化の懸念がおさまったこともあり、金の価格は落ち着いています。
このように、これまで常識として言われてきた株と金は逆相関するという説明は通用しなくなっている可能性があります。このため、中期・短期的な視点でゴールドを考えることは非常に難しいです。
とはいえ、上記いずれの場面でも株より優位に推移していることは間違いありません。このため、株価の下落から資産を守るという目的で金を長期保有するという考えは理にかなっているように思います。
メリットデメリットを踏まえたうえで金に投資するのかを考える
メリットデメリットをあげてみて思ったことは、以下2点です。
10年以上の長期投資であれば、株価暴落時にも下がりにくい金を保有することはメンタル的に良いかもしれない
リーマンショック時はリーマンブラザーズが破綻した2008年9月からS&P500は半年間で43%程度下落しました。今、過去を振り返れば、長期投資分は保有し続ければ株価は数年で戻ってくるのだから心配ないと思いますよね。
でも、実際にその時代の真っ只中にいたらどうでしょう。
以下、下落時の約半年間のチャートです。
s&p500や日経平均のみを長期投資していた場合、こんな時にも保有し続けるメンタル保てますか?
そこでこの時、仮に金を50%保有していたとします。その場合、下落は2008年9月からは-26%程度に抑えられています。それでもかなりきついですが、まだ「こういうときもあるよ」くらいに思いやすいですよね。
長期投資は、こういった下落の時にも保有し続けられるかで、将来の結果が大きく変わります。もちろん下落時に一旦損切、上昇してきたら再投資もありですが、これだけ大きく下落する指数に再度投資をすることはその渦中にいる場合とても難しいと思います。
これは投資を始めたばかりの場合、なかなか想像しづらい状況かもしれませんが、今後長期投資をする場合は大暴落は避けられません。アセットアロケーションを考える上ではこういった想定は必要だと思います。
リターンを考えれば、S&P500か、株価上昇が期待される日経平均だけを買った方がよいのか?
金を保有していてもは分配金がありません。またリターンだけを考えれば、過去実績もあって今後AIで変わっていく世の中の恩恵を受けられるであろうS&P500か、実績はないけれど割安で今後インフレとともに株価上昇が期待される日経平均だけを買った方が結果はよいのではと思ってしまいそうです。
金は、最近までは約10年間高値を更新できていませんでした。わざわざ分配金もあるs&P500や日経平均に連動するETFや投資信託の割合を少なくして金に投資した結果、リターンが少なくなったら嫌ですよね。
しかし未来のことは誰にも分からず、金がこの先10年s&p500よりパフォーマンスがいい可能性がなくはないです。そして何よりメリットとして、世界が大混乱に陥ったとしても価値が下がる可能性は低いというのも事実です。
結果どう考えればよいか
私の長期投資の思考としては、もちろん最大限のパフォーマンスがでたらいいですが、それよりも減らしたくない気持ちの方が強いです。このため、デメリットも受け止めた結論として私は長期投資資金の3割程度をゴールドを投資しています。
そして結果パフォーマンスがよくなくともここまで考えて実行しているので、どのような結果でも納得できるのではないかと思います。
判断はどの程度を投資期間としてみているかによっても変わってくると思いますし、個人の思考によっても変わると思います。投資全般そうなのですが、私自身金に関しては特に「この方法がいい」という考えはもっていません。しかしなるべく正しいデータをみて、自分で判断できれば後からの後悔は少なくなるかなと思います。
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